プロローグ: 女神たちの醜い嫉妬心が招いた悲劇
アフロディーテとエロスの陰謀
愛と美の女神アフロディーテ は、他の女神たちから軽んじられていることに 怒りを募らせていました 。復讐心に駆られた彼女は、息子の エロス に 冥界の王ハデスを射抜くよう命じます 。
矢に射抜かれたハデスの禁断の恋
エロスの放った矢は、 運命の女神の意志とも知らず 、ハデスの胸を射抜きました。 デメテルの娘ペルセポネに一目惚れしたハデス は、彼女を 自分の妻にしたいという強い欲望 に駆られるのでした。
無垢な乙女ペルセポネの悲運
花摘みの最中に突如現れた冥界の王
ある日、 無邪気にも花摘みを楽しんでいたペルセポネ の前に、突如として 冥界の王ハデス が姿を現しました。黒い馬に引かれた黄金の戦車から降り立ったハデスは、少女を 力ずくで捕らえようと 近づいてきます。
叫び声虚しく連れ去られる無垢な娘
母親デメテルの名を必死に叫ぶペルセポネ でしたが、その声は虚しく大地に吸い込まれていくばかり。 無理やりハデスの戦車に乗せられた彼女 は、あっという間に 冥界へと連れ去られて しまったのです。
冥界の女王への運命
こうしてハデスに強引に連れ去られたペルセポネは、 冥界の女王になるという望まぬ運命 を背負わされることになりました。一方、地上では彼女の悲痛な叫び声が 母デメテルの耳に届くことはありませんでした 。
絶望の淵で娘を探し求める母デメテルの旅
大地を駆け巡る母の悲痛な捜索
娘が消えたことに気づいたデメテルは、 絶望のあまり泣き崩れてしまいます 。しかし、すぐに立ち上がると 昼夜を問わず大地を駆け巡り、ペルセポネを探し始めました 。 9日間もの間、休むことなく捜索を続けた デメテルでしたが、娘の姿を見つけることはできませんでした。
行き倒れた先で出会った王家への恩返し
疲労困憊し、 エレウシスの地で行き倒れてしまったデメテル 。そこでケレオス王の娘たちに助けられた彼女は、 お礼として、病に伏せっている王子の治療 を行います。 さらに王子に不死の賜物を授けようと 、デメテルは儀式の準備を始めるのでした。
不死の賜物を無にしたメタネイラ王妃の過ち
王子に不死を授ける儀式として、デメテルは 王子を火の中に入れようとします 。その瞬間、 我が子が焼かれていると勘違いしたメタネイラ王妃 が駆け込んできました。デメテルの儀式は 中断されてしまい、王子が不死を得ることはかないません でした。
怒れる母の祟りが大地に与えた災厄
荒廃する大地と死に瀕する生命たち
デメテルの 怒りと悲しみは、大地を荒廃させ始めました 。 作物は枯れ、植物は育たず、動物たちは次々と命を落としていきます 。大地は見る影もなく荒れ果て、 飢饉が人々を苦しめる ようになったのです。
太陽神の密告と事の真相
事態を憂えた 太陽神ヘリオスは、ペルセポネ誘拐の真相をデメテルに伝えます 。事の次第を知った彼女は、 即座にゼウスのもとへと直談判に向かいました 。
娘奪還を求めるデメテルとゼウスの攻防
娘の奪還を強く求めるデメテル に対し、ゼウスは当初 ハデスとペルセポネの結婚を認めるつもりでいました 。しかし、 大地の荒廃を目の当たりにしたゼウス は、ハデスにペルセポネを 地上に返すよう説得 したのです。
策士ハデスの最期の抵抗
ゼウスの勅命で地上に返されるペルセポネ
ゼウスの命を受け、ハデスはしぶしぶペルセポネを返すことに同意 します。ヘルメスに導かれ、 ペルセポネは黄金の戦車に乗せられて地上へと送り返されました 。
ザクロの種の罠 – 冥界に繋がれた娘
しかし、ハデスは最後の抵抗として、 ペルセポネにザクロの種を食べさせる という策に出ます。 冥界の食べ物を口にした者は、永遠に冥界に繋がれてしまう のです。この 神々の掟 により、ペルセポネは 一年の三分の一を冥界で過ごさなければならない 運命となりました。
女神の掟と季節誕生の知られざる理由
ペルセポネが冥界に滞在する間、 デメテルは悲しみに暮れ、大地は実りを失う ことになります。これが 冬の訪れ を意味していました。一方、ペルセポネが地上に戻ると、 大地は再び豊穣になり、春が訪れる のです。こうして、 ペルセポネは春と冬を行き来する季節の女神 となったのでした。
エピローグ: 愛憎渦巻く冥界の王妃
嫉妬に狂うペルセポネとハデスの愛人
ハデスに心を開こうとしないペルセポネに、 業を煮やしたハデスは愛人メンテを得ます 。 嫉妬に狂ったペルセポネは、メンテを踏み潰し、ミントの植物へと変えてしまいました 。
ミントの悲劇と女神の目覚め
メンテの悲劇を目の当たりにしたペルセポネは、 ハデスへの愛に気づき始めます 。 二人は互いの愛を確かめ合い、冥界の王と王妃として手を取り合うようになりました 。
季節の女神となったペルセポネ
ペルセポネは一年の三分の一を冥界で過ごし、残りを地上で母と共に過ごすことになります 。 冥界の王妃としての務めを果たしつつ、地上では春をもたらす女神 となったのです。人々はデメテルとペルセポネを崇拝し、 豊穣と季節の恵みに感謝を捧げた のでした。